働き方改革の流れの中で、仕事の質をより重視する傾向がありますが、ある調査研究からは、実は正規雇用と非正規雇用とで、日本の労働者の「仕事の質」にはあまり大きな違いがなく、大きく違うのは「収入の質」だけということがわかりました。
さらに、性別や正社員・非正社員・パート等の就業形態にかかわらず、多くの労働者が過度な仕事の要求にさらされており、質の高い仕事をするのには不十分な「仕事のリソース」しか持っていないという結果も示されました。
●仕事の質を高めるもの
この調査では、仕事の質を高めるものは、次のような「仕事のリソース」がそろっていることであるとし、これらのすべてが十分であることが必要だとしています。
【裁量と学びの機会】
仕事の順序・やり方の裁量がある。上司や同僚から新しいことを学ぶ機会がある等。
【良いマネジメント】
業務に秩序・計画性がある。上司が親切心と思いやりをもって接してくれる。上司を信頼できる。上司や同僚から自分の仕事へのフィードバック・アドバイスを得る機会がある等。
【良い人間関係】
部署に、共に働こうという姿勢がある。仕事に関連した情報の共有ができている。新しいアイデアを考えたり実行に移すために協力しあっている等。
●高い要求の仕事にもへこたれない組織をつくる
やみくもに長時間労働を減らそうとしても効果はありません。長時間労働が生まれる背景には、仕事のゴールが明確ではない・業務の計画や段取りが不十分である・必要なコミュニケーションが欠如しているなど、「仕事のリソース」に関わる数々の問題が存在しています。
負荷の高い仕事/高い要求の仕事にもへこたれない組織・職場を作るためには、「仕事のリソース」を整え、社員の健康感、仕事満足度、メンタルヘルス、ワーク・エンゲイジメントを高めることが必要です。
一度、自社の仕事のリソースについて点検してみてはいかがでしょうか?
【労働政策研究・研修機構『「仕事の質」からみる働き方の多様性』】